音楽や芸能のなかにしかない際だってエロティックなものに魅惑されて仕事をしてきました。作詞家として時には企画者や脚本を書く者として、そのような作業にかかわりながら、多くの“才能”と呼ばれるものに触れてきました。その関係のなかに発生する官能的なものは、おなじ誰かと共同作業をつづける時ですら、つねに未知の何かでした。この気分を高揚させる未知の情動は、自分にとって信頼や勇気といったこころのはたらきと不可分につながっています。おそらく他の誰ともおなじように、“才能”に魅せられ、そこに発生するエロティックな快楽を至上のものとして愛しながら生きているのでしょう。信頼や勇気、誠実やフェアプレイが生きることの価値であるのとおなじように、未知の才能に出逢い未知の領域に踏み入ることは生きることと同義語でしょう。誰にもある、浮きたつような熱い想いと同時にもたらされる、魂の静けさがそれを証しているようにさえ思います。そんな想いから、生を深くエロティックに感じさせる音楽をもとめて、魅惑する未知の才能をもとめて、新しいレーベル“Transnac”をつくりました。2007年は、木村えり花、虎島キンゴロウ、櫻井たかしというアーティストを、プロデューサーの方々のご協力のもとみなさまにお届けしたいと思います。こころから敬愛する音楽家である、屋敷豪太さん、高木完さん、かの香織さん、上野耕路さん、そして際だった才能で魅惑する森美幸さん、柘植伊佐夫さん、田中伸一さんに感謝をささげます。
売野雅勇